リビングの主役、ソファの選び方 「素材選びはライフスタイルを反映している」

f:id:rhino-blog:20131112205816j:plain

ソファの張り地は大きく分けて、革とファブリックの2つになります。
革には革の良さがあり、ファブリックにはファブリックの良さがあります。
それぞれの長所と短所を比較してみましょう。
元々の「皮」をなめし加工することによって「皮」から「革」へと変化します。
このなめし加工と型押しによって、革が製品化されるものになるのです。
ここでは牛の革について説明していきましょう。

f:id:rhino-blog:20131112205815j:plain

革のなめしにはタンニン植物なめしとクロムなめしがあります。
その他この2つのなめしを行う混合なめしや、オイルなめしなどもあります。
タンニン植物なめしで作られた革の代表がヌメ革です。
この工法は工程に手間や時間が掛るためコストが割高になります。
しかし有害物質を含まない工法なので、土に埋めても環境を破壊しないエコロジーなものと言えます。
また革本来の風合いがあり、経年変化で飴色になっていく過程を楽しむことができます。
その分もちろん愛情込めたお手入れをする必要があります。
ただこのヌメ革のソファは市場にはあまり流通してはいません。


クロムなめしされた革のことを「ウェットブルー」と言います。
硫酸クロムなどの化学物質を利用した現在主流のなめし工法です。
とても大きな木製のドラムでガッシャガッシャと脂肪や毛を取りながら洗浄し、なめしていくのです。
それはそれは独特の臭いがあります。
タンニン植物なめしが1か月程掛るのに対してクロムなめしは数時間で処理できます。
ただ焼却される革から発生する六価クロムが有害物質であるため、焼却には注意が必要となります。
普通に使う分には全く問題はありません。

 

f:id:rhino-blog:20131112211529p:plain

革を毛皮と同じように考えて、動物虐待と結びつける方がいますが、革にするために牛や馬を育てることはなく、一つの副産物として捉えることが一般的な考え方です。
日本で生産される革はほとんど半裁と呼ばれる背から2分割されたものですが、ヨーロッパでは分割されず全裁のものを使用します。
そのため大きく一枚革で加工することも可能になります。
しかも日本で加工された革とヨーロッパで加工された革を比べると、張ったときに出る傷の量が断然違います。
表面的にはほとんど分からなくなってしまった治り傷も、内側にはしっかりと残っているのです。
ヨーロッパでは、日本のように牛を育てるのに高い柵や鉄条網などを張り巡らせるようなことをしませんからね。
この傷をほとんど目立たなくしてしまうのが型押しと呼ばれるものです。
牛の革にさらに牛の革を型押しするのです。

f:id:rhino-blog:20131112211854j:plain

傷は目立たなくなりますが、これによって革本来の風合いが薄れていきます。
さらにワニ革やリザード革に型押しすることもできます。
ブランドバッグはより均一に生産効率を上げるために強く型押しし、革からさらに離れたものへとなっていきます。
かなり横道に逸れてしまいました。
以前イタリアの有名ブランド家具の日本工場で、ソファ製造の第一段階である型入れ・裁断作業を行っていましたので、当時の仕事や皮革工場見学を思い出しました。

 

f:id:rhino-blog:20131112205814j:plain

ソファの張り地として革はとてもラグジュアリーな雰囲気を生み出してくれます。
普段の掃除も掃除機でほこりを吸い込んでしまえばいいだけです。
半年に一度ぐらいの割合で、革専用のメンテナンスキットで汚れを落とし、プロテクションすれば、表面が硬化することを防ぎます。
バッグやお財布などの革製品にも使えます。

 

f:id:rhino-blog:20131112205813j:plain

では、革よりもほこりを気にしなければならないファブリックの長所は何でしょうか?
それはその豊富なテクスチャーの種類と色のバリエーションではないでしょうか。
さらっとした麻混のものや温かみのあるウール素材のもの、発色のいいバンブー繊維や化学繊維など雰囲気だけでなく肌触りや質感をも楽しむことができるのです。
合わせるクッションを同じテクスチャーの色違いでアレンジできるし、カバーリングタイプのものであれば自分で簡単にソファの模様替えができます。

f:id:rhino-blog:20131112205812j:plain

そして何より革に比べて価格が安いということです。
ファブリックのお手入れも革と同じように専用のメンテナンスキットを使われることをお勧めします。
このキットは布全般で利用できるため、ほったらかしすることが多いカーテンなどにも便利です。

素材選びをし始めると、その人のライフスタイルが分かってきます。
ナチュラルなものが好きか、ラグジュアリーなものを好むか。
車や趣味嗜好、そんなところにも通じています。

「素材」だけで長くなってしまいましたので、「色」については次回にします。
革も仕上げにアニリン染料や合成染料で着色します。
この染め方によっても風合いが変わってきます。
ファブリックの場合も、素材以上に色は見た目の影響を与えるものです。

それではお楽しみ。


お問合せ先
hülsta planning center 日本橋
interior shop RHINO creation
Web : http://www.rhino-creation.com/
Mail : info@rhino-creation.com
東京都中央区日本橋浜町1-12-9 日本橋浜町ビル1F
Tel.03-5829-8188