ドイツ、ヒュルスタ滞在記 vol.3 「シュタットローンの夜」

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ドイツ、ヒュルスタ滞在記 vol.3
「シュタットローンの夜」


ヒュルスタのあるシュタットローン、隣町のズートローンに滞在していると、夜はとても長く感じます。長閑な田舎町なので、夜を楽しむような娯楽がほとんどありません。仕事で行っているのだから仕方ないのですが…

ヒュルスタには3つの大きなイベントがあります。1月のケルンメッセ。4月のミラノメッセ。そして9月のヒュルスタ本社での「House Messe」です。
ケルンとミラノは世界中からインテリアデザインに関連した人々が集まる展示会ですが、ハウスメッセはヒュルスタの取扱ディーラーが新商品の商談のために集まる、ヒュルスタだけの一大イベントです。

ヨーロッパの家具販売店は、大型ショッピングセンターのようなサイズのもので、日本の大塚家具みたいなものです。展示するスペースもかなり広く、ヒュルスタの新作を導入してもらうための売り場をどれだけ拡張させられるか、営業マンの腕の見せ所となっています。

ハウスメッセの期間中、世界中の家具販売店の担当者や社長が、シュタットローンやズートローンのホテルに泊まり、この小さな街は人で溢れかえります。
昼間、ショールームでの商談が終わり、ホテルに戻ると、みんなバーカウンターの周りに集まり、先ずは食事を始める前に「プロースト」とビールで乾杯です。
メンバーが揃ったら、指定のテーブルへと移動し、ワインを飲みながらゆっくりと食事を取りながら歓談です。

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食事はあらかじめコース料理になっていて、季節関係なく付け合せでじゃがいもが出てきます。意外なのが、ソーセージがシュタットローンのホテルでは出ないこと。日本人の考えるドイツ料理と言えば、ソーセージ。ところが、こちらからリクエストしない限り、シュタットローンではソーセージが出てくることはありませんでした。デュッセルドルフのビアホールや南ドイツでは、ソーセージを堪能することができます。

みんなで食事を取り終えると、最後に大抵シュナップスを飲みます。シュナップスはアルコール度数40度の蒸留酒で、原材料に果物を使うことが多いです。
これをアルコール度数40度のシュナップスをショットグラスで煽る。飲みっぷりがいいと、次はこっちはも美味しいから飲んでみろ、これもお勧めだとか言って、次々と出てくる。そして調子に乗ると大変なことになる。私は蒸留酒が苦手なので、最初から舐める程度で遠慮していました。
この食後酒の中で異彩を放っているのが、ウンダーベルグという薬草酒。20mlの小さな小瓶で売られていて、飲み過ぎたときや薬の代用として飲んだりもするらしい。これがかなり独特の味。私には飲み過ぎたとしても口にしたくない味のものでした。

 

ただ、このような食事はドイツ人にとって特別なものです。
普段の彼らの夕食が、あまりに質素で驚かされます。大概夕食はワインとパンとチーズのようなもので、あまり温かいものが食卓に並びません。自宅に招待されても、「あれ、歓迎されていない?」と勘違いしてしまうほどです。

 

ホテルでは飲んで食事をすることだけしか楽しめるものがないかというと、実はそうでもありません。スタットローンの隣町、ズートローンのホテル「ズートローナホフ」の地下には、1レーンだけのボーリング場があります。

ボーリングといっても、あのボーリングではなく、「ケーゲル」という紐で吊られた9本のピンを、砲丸投げの玉くらいのサイズのボールを投げて倒すというもの。しかし、このケーゲルがなかなか難しい。紐で吊られているから、ピンアクションでストライクを取るなんてとても無理。へたするとピンとピンの間をボールが抜けていくことすらあります。
しかもルールもいろいろあって、1ピンだけを倒す勝負とか、ダーツゲームのように決めた数をピッタリ早く倒す勝負とか、自分たちでルールを決めて楽しむことができる。
そして、レーン手前にはロープが張られ、鈴が付いている。ボールがこれに触れると鈴が鳴ると罰ゲーム。大抵シュナップスの一気飲み。また、投げたと同時に別の人がレーンの横を走って、ピンに届く前にボールを止められた場合も罰ゲーム。そしてまたシュナップスの一気飲み。
2004年、カンディハウスの方たちと夜中までこのケーゲルで遊んだことは、とても懐かしい思い出です。

 

ドイツでの食事でソーセージよりも感動したものがあります。

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それは、5月、6月ごろにドイツを訪ねたときに食べることができるホワイトアスパラガスです。日本で食べるホワイトアスパラガスは缶詰の茹でたもの。肉厚でしっかりしたホワイトアスパラガス、これが実に美味しい。この時期ドイツに10日ほど滞在していると、ビールと食事で必ず3kgぐらい太ってしまう恐れがあります。

※2017年3月31日改訂