ドイツ、ヒュルスタ滞在記 vol.2「ヒュルスタ本社」

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ドイツ、ヒュルスタ滞在記 vol.2
「ヒュルスタ本社」


朝8時から夕方の5時まで。これがヒュルスタ本社の勤務時間です。
本社にはショールームと工場が併設されています。
ショールームは、広さが6,000㎡。

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ショールームは回遊式になっているため、順路を追って見る仕組みです。ファーストラインの「hülsta」からセカンドラインの「now!」まで、すべてのシリーズが実際の住環境を想定したかたちで展示されています。

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一つ一つの商品を丁寧に見たり、質問・回答を繰り返しながら見ていると、半日は掛かります。

 

併設されている工場の方は52,000㎡。約1,200人のスタッフがが働いています。
ここで製造されているのは、ワードローブ、ベッドフレーム、チェストなどのベッドルームの家具と、セカンドラインの「now!」です。ただしマットレス、ウッドスプリング、チェアは別の工場で製造されています。

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今回の私の滞在目的は、ヒュルスタを深く知ること。
全ての商品と、工場の生産ライン及びクオリティーコントロール、日本との受発注の流れ、プランニングソフト「furnplan」のマスターなどなど、ほとんど缶詰め状態でトレーニングです。
トレーニングはすべて英語。実物を目にしながら受けるので、理解はしやすいのですが、マテリアルや睡眠などの人間工学的なものになると専門用語になり、かなり難しく、電子辞書を離せなくなります。

ドイツでは、1週間の就労時間が40時間と決まっていて、これを厳格に守っています。そのため月曜から木曜で1時間ずつ残業すると、金曜日は午前中で仕事が終わりです。やらなければならない仕事があっても、原則的に残業することはできません。
だから金曜日の午後になると、オフィスは人がまばら状態。がらーんとしています。
それでもやむを得ず残業をしたり、休日出勤したりしたときは、日本のように残業手当とか休日手当をもらうのではなく、基本的に代休を取ることになります。
また日本ほど祝日は多くないのですが、夏休みとクリスマス休暇はしっかりと休みを取ります。だいたい2週間から3週間休みます。私が入社したときの日本の代表もドイツ人だったので、同様にきっちり長期休暇を取っていました。


話を元に戻します。月曜から金曜まで終日英語で研修を受け続けていると、頭はパンクしてしまいます。だから金曜日の午後は、一人でそれまでの研修内容を整理するための時間に当てることができ、丁度良かったです。

ヒュルスタの製品説明を受けていると、彼らは本当に自信を持っているんだなということを肌で感じます。
ヒュルスタが使用する突板の厚みは0.6㎜から0.8㎜。他社は0.3㎜ぐらいのもっと薄いものを使っている。そして1年間で使用する突板は、900万㎡。(工場長談)
ヒュルスタのラッカー塗装は、体に害がないように検査合格している。かつてのラッカー塗装は熱や衝撃に弱かったが、今はかなり強度があり、傷がつかないようになっている。(クオリティーコントロール担当者談)
ファーンプランでプランニングされた注文は、お客様毎にオーダーコンファメーションで管理され、製造され、届けられる。(受注担当者談)

どこのセクションに行っても、それぞれが胸を張ってヒュルスタ製品の素晴らしさを力説します。ものづくりという点からしたら、日本とドイツはとても似ているのかもしれません。とにかく職人のように頑固なのです。このプライドが高さが、後々日本とドイツとで交渉をする上で苦労する種となるのですが、勤勉で、まじめで、自分の仕事や製品に対してプライドが、ヒュルスタをヨーロッパNo.1の家具ブランドにしたのでしょう。

ヒュルスタ本社に勤めているスタッフのほとんどは、近くに住んでいて、車で通勤しています。そして週末にときどき国境を越えて、オランダのマーケットでチーズや食料品、煙草を買い、さらにガソリンを補充します。同じユーロ圏であっても、オランダの方が物価が少し安いからです。

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ヒュルスタ本社の辺りからオランダの国境近くの町まで車で30分ほど。日曜日には教会の広場にはマーケットが立ち並び、お店も開いています。オランダの有名な木靴も売っていました。

オランダのレストランに入ったときに、さすがだなと感心したのは小便器の高さです。私たち日本人では爪先立ちでしなければ届かないほどの高さでした。

もう一つ、トイレ情報を。ドイツでトイレに入るときは注意が必要です。
イラストが書かれていれば問題ないのですが、入口に「Herren」「Damen」、あるいは「H」「D」とだけ書かれている場合があります。
「Damen」には「men」があるから男性、「Herren」には英語の「Her」と響きから連想して女性と思い込むと大間違い。逆が正しいのです。

 

きっとこんな環境下で研修を続けていれば、1年もしたらドイツ語も習得できるようになるのだろうなと感じずにはいられない、そんな誘惑からはシャットアウトできるヒュルスタ本社のあるドイツ、シュタットローン近郊です。

 

※2017年3月31日改訂